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どんな手つきで触れたものか途方に暮れる、というのが本音かもしれません。
何しろジェットPです。一世を風靡したジェットノワールにおける荒々しさの裏側に胚胎する繊細さ、動画をふわりと消したかと思えばさらりと別名義を採用してみるアングラ的な超然ぶり、あるいは痛々しいほどの棘を宿した手描きの描線と、しなやかな優しさにあふれた切り絵の線のギャップ。
武装、虚飾、ハリネズミの針――いずれ攻撃的な語彙を連想させる、そうしたジェットPにまつわる諸々の危うさは、その奥に潜ませた純粋性の裏返しではあるのでしょう。暴風のようなエフェクトに浸されたアイドルの視線の闇は深く、それが消える刹那に閃く笑みはたまらなく愛おしい。
そして、そのどちらもが本質であり、本質でない。ふたつの鮮烈な個性を包み込む皮膜一枚、触れればたやすく裂けてしまいそうな、その境目こそがジェットPという個性なのでしょう。
そして、”ジェットP”がVRFに登場するということ、それ自体がなんだか夢か幻のようです。”ジェットP”が引退作を出したのは今年3月、以降は別名義での活動が主であったことを思うと、ある意味、はたしてステージに現れるのが何者なのか、ということさえ判然としないのです。
とうてい紹介とも宣伝とも機能しそうにない、この困惑した文章自体がもはやジェットPという有り様に絡め取られているような気がしています。熱狂と興奮が吹き荒れるVRFに、その黒玉めいた光輝――この語義矛盾ときたら!――に彩られた深い沼が、大きな口を開けて待ち構えている。その想像に、今から胸が震えます。【ガラクタ】
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