はしPといえば、多くのモーショングラフィックス合作に顔を出しているのが印象的です。そしてそのどれもが最近のニコマスでよく見られる、一曲を複数人でパート分割して作るタイプの合作。あの手の動画は一人一人の担当する時間が短くなるのですが、その短時間の中でも確実に「魅せる」ことができるだけの力量を持っている人だと思います。どの合作で担当したパートも凄く華やかで、深く考えずとも堪能できるような視覚的に楽しいものに仕上がっているんですよねー。
　しかし一方ではしP個人での作品となると、心にじんわりと感動が広がるようなストーリー系のPVが多くを占めています。「星のかがやきよ」では千早が己を縛る鎖から解放され、トップアイドルの高みに立つ道のりを。「雨あがりの朝に」では雪歩が待ち合わせ場所に向かう、ささいな休日の一コマを……といったように様々なシチュエーションで描かれる世界はいずれも優しさに満ちていて、合作で見せる華やかな動画とはまた違った趣があります。
　視覚的にも、感情的にも視聴者を湧かすことができるはしPのステージは、きっと幅広い人が楽しめるようなものになるのではないでしょうか。映像面の技術やセンスが光る方ですが、ストーリー系PVが大好きな僕としてはそちらの方向にも期待したいですね。【胡桃坂】